ハイブリッドイヤホンの頂点となるか!? LZ(老忠)「LZ-A3S」 レビュー
皆さんこんにちわ♪今回は海外のオーディオコミュニケーションサイト「Head-fi」でも話題の機種「LZ-A3」のアップグレード版「LZ-A3S」のレビューをしていきますよ!!こちらはハイブリッド型イヤホンとなっています。ハイブリッド型イヤホンの最高峰であるAKG「K3003」をKillするとのことですが果たして・・・
今回の記事は大分長いものとなるので、時間にゆとりのある時に見てもらえたらと思います。
こちらの商品はAmazonマーケットプレイスの「ZhengNan Shop」から提供して頂きました。ありがとうございますm(__)m
「ZhengNan Shop」はAmazonでは比較的人気のある中華イヤホンを扱っているお店で、輸入に抵抗のある方にはオススメできるところです。そして輸入する価格とそこまで変わらないのも魅力の一つですね♪基本的にFBAによる配送でAmazonの倉庫から送ってくれるのでたった数日で届きますが、人気商品となると中国からの配送になってしまうそうです。メールでの応対も日本語でしっかりとしているので、安心して購入できる場所だと思います。
なお、こちらのイヤホンはAliexpressでも入手可能となっており、こちらの方が安く手に入れることが出来ますので輸入に抵抗の無い方やクレジットカードが使える方はAliexpressで購入してもいいと思います。
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ハイブリッド型イヤホンとは?
知っている方もいるとは思いますが、知らない人もいると思うので説明いたしますね。知っている方は飛ばしてもらっても構いません。
イヤホンにはそもそもダイナミック型(D型)とバランスド・アーマチュア型(BA型)の2種類が存在します。下記画像(初めてのイヤホン選び初心者完全ガイドより)を見ればその違いはわかると思います。
まとめると、D型はベースやドラムバスのような低音の再現力に優れていて、BA型は女性ボーカルやギター、シンバルなどの中高音の再現力に優れているということです。
そしてハイブリッド型というのはこのD型のドライバーとBA型のドライバーを両方搭載して、低域・中高域全ての再現力を高めたイヤホンを指します。つまりD型の良い点とBA型の良い点を活かしたイヤホンということですね♪
このハイブリッド型のイヤホンは最近とても流行っており、各メーカーがしのぎを削って設計販売しています。SONYで言うとXBA-A3、ELECOMではR/HH1000Aあたりがハイブリッドイヤホンに該当します。
これらのハイブリッド型イヤホンはとても音が良くて私も欲しいとは思いますね(*´∀`*)先ほど紹介したXBA-A3やR/HH1000Aは数万円はするので、今回紹介するLZ-A3Sと競合するかと思います。これらの機種との試聴比較も書いていきますので、参考になればと思います。
では長々と書きましたが前座を終わらせまして、今回のイヤホンをレビューしていきますね♪
[外観デザイン]★★★★☆
まずパッケージですが、価格にしてはしっかりとしたものとなってます。全体的にスレた跡や汚れがついてますが、ちょっとした汚れや凹みは中華系のものだと結構当たり前になってます。
パッケージを開けてみると、イヤホンがしっかりと鎮座されていますね。少しシンプルすぎるのではと思いますがw
上のイヤホン部分を取り出してみると、下に付属品が見えてきます。ここに全て収められているようですね。
箱の中を全て取り出してみると、中身はイヤホン本体、MMCX端子のケーブル、イヤホンケース、イヤーピースが多数、イヤホンクリップ、耳かけフックがありました。
なおイヤーピースを取り出してみるとこんな感じです。左上は黄色軸(S,M<イヤホン本体に装着済み>,L)右上は赤色軸(S,M,L)、左下は上から二段フランジ、フォーム、右下は黒色軸(S,M,L)となります。これだけイヤーピースがあるとなるとどれを選べば良いのか悩みますね(^_^;)色々試して個人的にフィットするものを選べば良いと思います♪
イヤホン本体は金属製で頑丈に作られている印象を受けました。イヤホンの形としては他の機種と比べると大分個性的ですね。似たようなものだとUltimateEarsのUE600(現在は廃番)が挙げられます。
A3Sという機種名がハウジングに白のエンボスで描かれていてカッコいいです♪ただ、銀色に光る部分に小さな傷が付いていましたね(^_^;)先程も述べたように、中華イヤホンなのでしょうがないですw
DQSM D2002とLZ-A3Sの本体比較です。これを見るとA3Sのステムが長いことが分かりますね。となるとイヤーピースによるフィッティング調整は必須のようです。この為に様々な種類のイヤーピースが同梱されているんだなと実感しました。
イヤホン本体にMMCXケーブルをつけた様子です。
付属のMMCXケーブルの取り回しは大分良いですね♪癖がつかず、柔らかい形状で引っかかりも無いので殆どの人は満足するのではないでしょうか(*´∀`*)
ケーブルの分岐部です。こちらはプラスチック製ですね~スライダーも付いているのでケーブルが絡みづらくなっている点は良いですね。
プラグ部は最近流行り始めている斜め型ですね。プラスチック製ですが、作りはしっかりとしています。
外観デザインの総評としては、パッケージデザインもしっかりしており、イヤホン本体の作りもしっかりしているので満足度は高いですね♪ただ細かい所を言うとパッケージに凹みや汚れがあったり、ハウジングが最初から小さな傷がついていたりとちょっと気になる点はありました。中華イヤホン全般の問題なのですが、ここは仕方ないですね・・・
では肝心の音のレビューへ♪
[スペック]
タイプ: カナル式
ドライバー: ダイナミック・ドライバー1基 + バランスド・アーマチュア・ドライバー2基
リモコンマイク:なし
色: ブラック
重量: 30g
インピーダンス: 16Ω
ケーブル長さ: 1.2m(Y型)MMCX対応
感度: 120dB
プラグ:3.5mm金メッキ 斜め型
再生周波数帯域: 15-25000Hz
[音のバランス]
低域(ベース、ドラムバスなど)
★★★★☆
中域(ボーカル、ピアノなど主要な音)
★★★★☆
高域(シンバル、ハイハットなど)
★★★★
[音の評価]★★★★☆
◆試聴環境
DAP(デジタルオーディオプレーヤー)はiphone4sにアンプのFiiO E01をかまして視聴しました。今回のイヤホンはスマホや安価なDAPのだと真価を発揮しないようです。
◆試聴曲
試聴曲は主に「believe/Kalafina」「Karma/Lia」「金魚花火/大塚愛」「Roots/UVERworld」「RAY/BUMP OF CHICKEN」「Enigmatic Feeling/凛として時雨」「ピアノ協奏曲第2番/ラフマニノフ」「You've Got 2 Get Me/Sota Fujimori」「桜花抄/天門」を使用しました。
◆リファレンスのイヤホン(基準となるイヤホン)
このブログのリファレンスイヤホンはApple社のEarpodsを使用してます。このイヤホンと聴き比べした上で、音の感想を述べてます。
※エージング(音楽を鳴らし込むこと)は100時間をかけています。なお、ハイブリッド型のイヤホンはエージングを長めにかけないと真価を発揮しないことが多いので、エージングをかけずにこのイヤホンは合わないと諦めずに、エージングをかけてから判断するようにしてください。
まず、視聴環境にも書きましたがこのイヤホンはスマホや安価なDAPだと真価を発揮しないように思いました。スマホのみで聞くと、解像度もやや落ちて低域の量感もやや薄っぺらいものとなります。もしこのイヤホンを購入される方は、やや高めのDAP(最低でもSONYのNW-A20シリーズ、アイリバーのAstell&Kern AK Jrなどの2万前後のもの)かヘッドホンアンプを用意されることをお勧めします。
音の傾向はやや強めドンシャリ系で、キレのある音なのに不思議と刺さりもない音色ですね。全体的に濃い音でしかもキラキラと出ているような派手な音なのに、不思議とバランスも取れてます。手持ちの中でも音の濃さはトップクラスだと思いました。以前レビューした同会社のイヤホンであるLZ-Z03Aも大分濃いと思いましたが、それとは段違いですね(・・;耳に直接音を流し込まれてるような印象でしょうか。特に激しいダンスミュージックや凛として時雨のようなハードロックを聞くと、狭いパイプにこれでもか!!と音を詰め込んで、爆発する手間で一気にパイプ口に流れ込んでくるような感じです( ゚д゚ )逆に大人しめで「Karma/Lia」のような女性ボーカル、「桜花抄/天門」のようなインスト系を聞くと、ボーカルのビブラートの響きに艶があり、ピアノの叩く音に重心があって琴線に響きますね(*´∀`*)
まとめると、このイヤホンの大きな特徴としては「音が濃いこと」と「低域の広がり方が深く、重心があること」ですね。このイヤホンを聞いたあとに別のイヤホンを聞くと、音が薄っぺらく重厚さに欠けるな・・・と感じるくらいには濃い音と深みのある低域を鳴らしてくれます。ちなみにLZ03Aはこのイヤホンを聞いた後では解像度も圧倒的に低く、ぼやけたように聞こえます。さすが万を越すイヤホンでは太刀打ち出来ませんね(・・;
上の感想をみた人は聞き疲れや刺さりもヒドイことになっているのではと思う人もいるかもしれませんが、そこはご安心を♪不思議と刺さりもそこまで感じず、聞き疲れもたまにある程度でさほど気にすることでもないです。そこは上手くチューニングしており、迫力もありながらもバランスの取れた音となってます。やや低域よりではありますけど(^_^;)
音場(音の広がり)に関してですが、やや広めと言ったところでしょうか。 音場というのは音が広がる空間や場所のことです。 つまり音場が広いということは、コンサートホールで聴くような臨場感ある音を感じるということですね。ライブ音源を聞いてみたのですが、音も濃くて臨場感はあると思いましたが楽器の音が前に来すぎている印象を受けて、やや違和感のある広がり方かなと思いました。最初の例で出した、パイプに詰め込んだ音をギュッと出されたものを聞いている感覚ですね。この間レビューしたMaGaosi M1の方がまだ伸び伸びと自然な広がり方だと感じましたね。M1の良さに逆に気づいてしまいましたw
音の解像度(クリアさ)ですが、これは手持ちのイヤホンの中ではトップクラスに入ります。この価格帯にしても十分高い方でしょう。逆に高すぎてしつこいと感じられながらも、聞き疲れが無い所までギリギリ抑えられている印象です。
音量は大分取りやすい方だと思います。
さて、ここまでは良い事ばかり書いてきたので気になった点も書いていきます。
①「濃い音なので長時間聞いていられる音ではないこと」
個人的な好みとして、音の広がりも自然で音抜けも良く解像度もそれなりに良い物が挙げられるのですが、A3Sは濃い音で凝縮された音を出すので正直数十分でお腹いっぱいになることが多いです。なのでリスニング向けではないと思いました。短い時間で楽しく聞きたい人に向いていると感じましたね。
②「遮音性が低く、外使いには向いていないこと」
このイヤホンは音の破綻が無く、音量を上げても音が潰れるなどのようなことが無いのでむやみに音量を上げたくなるのですが、いかんせん遮音性に欠けてるのが惜しいですね。iphoneの音量で4~5割ならば大丈夫だと思いますが、個人的には物足りない( ゚д゚ )
③「シェア掛けがしづらいことと、シェア掛けするとケーブルが断線しやすいかもしれない」
シェア掛けについてはこちらを見れもらえれば分かると思いますが、耳の上からコードを通してイヤホンを掛けることですね。詳しい方ならこのイヤホンを手にした時にシェア掛けをする人が大半だと思いますが、個人的にどの付属イヤーピースを試しても中々フィットしませんでした。普通の掛け方ならフィットします。
そしてこのイヤホンの大きな特徴としてハウジングが縦に長いことが挙げられますが、そこからMMCX端子付近のプラスチックで覆われている所も長さがあり、耳の穴から耳に引っ掛ける部分が長くなります。なので耳が小さい人は装着時に違和感を覚えることと、ケーブルの根本に余計な角度が付いてしまい負荷がかかって断線しやすくなるのでは・・・と思いました。
最後に、このイヤホンに合う曲のジャンルとしては、基本的に何でも合うと思います。破綻もせず、どの音楽でもその濃い音と低音の広がりで魅力的に鳴らしてくれると思います。ただ特に合うものとしては、低域の深みやボーカルの響きが良いので、低音中心のロックやダンスミュージック、ボーカルもの、クラシックなどに向いていると思いました。一方向いていないものはしいて言うならばライブものでしょうか。この音が好きな方もいるとは思うのですが、私はライブとしてはやや窮屈な音に感じたので(・・;DQSM D2002かMaGaosi M1並の音場があれば完璧だなと思いました。
[装着感・音漏れなど]
装着感ですが、適切なイヤーピースのサイズを選び、きちんと耳に押し込むように装着すれば、違和感なくきちんと装着出来ると思います。先ほども述べましたが、シェア掛けは個人的にフィットしなかったので各自各々で最適なフィッティングを研究することをお勧めします。
音漏れも先ほど述べましたが、大分漏れています。iphoneの音量で4~5割程度ならば、まあ大丈夫だと思います。
遮音性はそれなりですね。あまり期待しないほうが良いと思います。
タッチノイズに関してはあまり無いと思います。
[全体評価]★★★★☆
全体として、音としては素晴らしい出来のイヤホンだと思います(*´∀`*)濃い音と低音の響き方は圧巻で、同価格帯の中では特に際立って響き方にこだわっていると思いました。このあと書きますが、ソニーやエレコムのハイブリッド機と比べると大分傾向は異なりますね。そういった意味でも魅力的なイヤホンだと思います。
ただし、気になる点として長い時間聞き続けづらい点、遮音性が悪い、フィッティングの問題があり、個人的には音場をもっと広くして欲しかった点から★4.5としました。音の出来はかなり良い分、非常に惜しいイヤホンだと全体的には思いました。
私としては今後レビューすることとなっているハイブリッド機種「DQSM D2002」の存在があり、こちらの音がとても気に入ってるために★4.5とした所もあります。もしD2を手に入れてなければ★5としていたかもしれません。これは完全に個人の好みですね(^_^;)D2は音場と自然な音抜けが素晴らしいもので・・・
詳しくない方のために説明すると、イヤホンやヘッドホンというのは1万円までは比較的音の良さと価格は比例してきます。なので高ければ高いほど音が良い確率も高くなる。しかし、1万円台を超えると、音の良さと価格は比例関係に無く、個人個人の好みで選ぶこととなっていきます。そのため、どれが音が良い悪いと言えなくなってきます。今回のA3Sではまさしくそんな音でしたね。素晴らしい音なのは頭で分かっているんですが、一番好みとは言えない・・・
というわけで、今回のレビューいかがでしたでしょうか。今回は大分長くなってしまって申し訳ないですm(__)m私の最近モットーとしては、分かりやすいということをコンセプトにしてますので・・・
では最後に簡単な他機種との比較を書いて終わりにしたいと思います。機会があればきちんとした記事で比較記事も検討したいですね♪
[比較試聴レビュー]
◯SONY「XBA-A2」略称A2
ドンシャリ系。比較機種の中では低域は一番多い。解像度や明瞭度では各機種で劣るものの低域の沈み込みや広がり方ならこの中で一番好み。
◯ELECOM「R/HH1000A」略称H1
フラット系。比較機種の中ではバランスよく、分離が良い印象。解像度はD2とほぼ同じ。低域は比較機種の中で一番低い。
◯DQSM「D2002」 略称D2
音場は比較機種の中でトップクラスに広い。フィルターを変えて「緑(低域)」「白(フラット)」「黒(高域)」に切り替えれるため、曲によって音質を切り替えれれるのが他のイヤホンにない特徴。緑とA2では緑の方が低域が少ない。白とH1では低域は白のほうが多く、楽しく聞けるバランスサウンドに仕上がってる印象。
◯LZ(老忠)「LZ-A3S」略称A3S
他3機種と比べると圧倒的に音の性質がかけ離れている。他機種はどちらかと言うとバランスを重視しているような印象だが、A3Sは全体的に太い音で解像度もトップクラス。低域はA2に継いで2番目に大きい。男前なサウンドに感じる。
以上となります。比較してみると色々と特性がわかって面白いですね♪
では、今回はこれにて終わりにしたいと思います。よろしければ感想やご意見などもコメントで書いてもらえると嬉しいです(*´∀`*)
次回にお会いしましょう!!
では今回はこの辺で!!